現代の日本は、グローバル化、少子高齢化などによって多様な社会へと激しく変化しており、学校教育においても、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」をバランスよく育成することを通じて、これからの社会において「生きる力」をより一層育むことが重要になっています。
MOA美術館児童作品展は、「学習指導要領」にもとづき、子どもたちが自然・環境、社会、他者との関わりを通して、興味や関心をもったことを、感性を働かせながら絵画や書写によって表現することで情操を養い、豊かな心を育てることを目的に開催しています。
子どもたちの創作活動を奨励することは、夢や目標に向かって自ら考え、行動する力を高めると同時にそれぞれの国の伝統と文化への関心を高め国際文化交流に資するものと考えています。
本児童作品展は、全国の美育ボランティアによって支えられ、さまざまな個人、団体と協力しながら、医療福祉機関での巡回展示や、年間を通じた美育活動など、学校・家庭・地域が連携し、社会全体で子どもを育てていくことを重視するもので、このことによって、地域社会の絆を深め、心身ともに健康な活力のあるコミュニティづくりを願っています。
MOA美術館
| 開催期間 | 展 示 2025年12月26日~2026年2月11日 入賞入選300点と団体賞の展示紹介 於:MOA美術館1階 表彰式 2026年2月1日 於:能楽堂 |
|---|---|
| 主催 | 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館) |
| 後援 |
文部科学省 外務省 農林水産省 環境省 こども家庭庁 日本ユネスコ国内委員会 公益社団法人日本PTA全国協議会 公益社団法人全国子ども会連合会 公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 全国新聞社事業協議会 公益財団法人海外日系人協会 全国連合小学校長会 |
| 参加対象 | 海外11ヶ国30会場を含む294会場で開催.応募総数169,613点、参加校数5,302校 |
| 審査員 |
絵画の部 小林 恭代 文部科学省教科調査官 安達 美紗 こども家庭庁成育局参事官(事業調整担当)付育成環境係長 中原 一成 環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室室長補佐 岡田 京子 東京家政大学教授 村上 尚徳 環太平洋大学教授 松永かおり 全国造形教育連盟委員長、世田谷区立玉川中学校校長 森下 和代 元天草市立有明小学校校長 内田 篤呉 MOA美術館館長 書写の部 豊口 和士 文部科学省教科調査官 安達 美紗 こども家庭庁成育局参事官(事業調整担当)付育成環境係長 中原 一成 環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室室長補佐 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤 泰弘 東京学芸大学教授 𡈽上 智子 日本女子大学人間社会学部教育学科特任教授 荒井 利之 前全日本高等学校書道教育研究会会長 高島 一広 書写書道教育推進協議会実務委員 団体の部 小林 恭代 文部科学省教科調査官 豊口 和士 文部科学省教科調査官、文教大学教授 國松 弘平 こども家庭庁成育局参事官(事業調整担当)参事官補佐 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤 泰弘 東京学芸大学教授 岡田 京子 東京家政大学教授 中島 宏平 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団代表理事 内田 篤呉 MOA美術館館長 (順不同・敬称略) |
| 賞 |
絵画の部 文部科学大臣賞 1年~6年各1点 6点 外務大臣賞 3点 内閣特命担当大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 環境大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 2点 金 賞 5点 銀 賞 18点 銅 賞 30点 入 選 150点 書写の部 文部科学大臣賞 1年~6年各1点 6点 内閣特命担当大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 環境大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 1点 金 賞 2点 銀 賞 5点 銅 賞 10点 入 選 50点 団体の部 文部科学大臣賞 学校奨励賞 6校 内閣特命担当大臣賞 2児童作品展実行委員会 |
受賞された皆さんと、出品されたすべての児童の皆さんのご努力を心より讃えます。
今年度、書写の部では、国内・海外を合わせ、計45,339点の出品があり、皆さんの日頃の努力の成果が大いに発揮され、思いがあふれる素晴らしい作品ばかりでした。
書写を含めた書道や書は、生活文化として生活を支え、生活を彩り、生活の中で育まれる中で、毛筆で書かれた文字や言葉に美が見出され、日本独自の芸術として発展し、芸術としての歴史と伝統が継承されてきました。
現在、生活や社会の在り方が大きく変わりつつあり、「手で文字を書く」こと自体にも変化が生じつつあります。そうした中、毛筆で文字を書くことの意味や価値が問われることになるでしょう。国語で学習する書写は国語力として学ぶわけですが、芸術や美の世界は、生活に生かすだけでなく、これからの人生で出会う様々な物事に対して「感じる」力や心を鍛えているのだと思います。背景にある歴史や文化を理解することで、自分自身を深く理解することが大切であり、そのきっかけの一つが毛筆文化なのかもしれません。
今後も毛筆に限らず日常生活の中で文字を書くことを大切にし、心豊かな生活を自ら創造していってほしいと願っています。
審査に当たっては、用筆や運筆、字形や字配り、紙面構成や作品としてのまとまりなどの他、こうした姿勢や思いもまた重要な観点となります。
どうすれば賞を獲得できるかということではなく、自分にとって何が大切なのか、自分は何に感動するのか、また他の人はどう感じているのかといったことも大切にし、自分にとっての価値ある表現を追求していってほしいと思います。書写の学習を通して、日本の伝統や文化と向き合いながら、文字や言葉を書いて伝えることの意味や大切さを感じ取る感性を高めていってください。
そして、毛筆で文字を書く経験を通して、たくさんのことを考え、色々なことを学び、自身と向き合い、これからの人生を豊かにしていってほしいと思います。
文部科学省教科調査官 文教大学教授 豊口和士

田中 佳丈
【学校コメント】 本校は、近隣3校が統合し開校7年目を迎えた学校です。今年度のキャッチフレーズは「文化薫るはまなすの子」です。文化的な活動に力を入れており、全校児童で歌声を響かせる「全校音楽会」を実施しているほか、絵画や書道にも積極的に取り組んでおります。
また、地域社会との連携を大切にし、学校と地域が一体となった教育活動を推進しています。
【委員会コメント】 この度の学校奨励賞受賞は、函館市では3校目の受賞であり、私共にとっても大きな喜びと励みになりました。2019年に大森浜小学校は、歴史ある3校が統合して開校されました。
統合前より、長年にわたって各校の先生方の深いご理解と多大なご協力をいただき、統合後も継続して作品展を支えていただいております。
改めてご尽力くださった皆様に感謝とお礼を申し上げます。今後とも美により学校、地域のお役に立てるように努力してまいります。

岡野 親
【学校コメント】 この度は、第36回MOA美術館全国児童作品展において「文部科学大臣賞 学校奨励賞」という大変栄誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。 主催者であるMOA美術館並びに関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
本校では、日頃より「高い学力の定着」と「豊かな心の育成」の二本柱を教育方針として掲げております。このうち「豊かな心の育成」にあたっては、児童一人ひとりの表現する喜びを大切にし、創造力と感性を育む教育にも力を入れております。
今回の受賞は長年にわたる子どもたちの努力はもとより、日々温かく見守ってくださる保護者の皆様、そして本作品展の理念に共感し指導に当たった教職員の取り組みが実を結んだものと感じております。子どもたちが自らの作品を通じて自信を育み、他者の表現に触れて、さらに心を豊かにしていく機会をいただけていることに、改めて深く感謝申し上げます。
今後も、芸術教育を通じて子どもたちの可能性を伸ばし、心豊かな成長を支援してまいります。
【委員会コメント】 子供たちの「生きる力」を育む事を願い、世田谷区との共催のもと、多くのボランティアや地域の皆様の支えにより事業を継続してきました。
受賞校では「対話型美術鑑賞授業」を通して家庭に笑顔が広がり、絆が深まっています。また「日本文化教室」への理解の中、豊かな心が育まれています。今後も地域と連携し、喜びに満ちた作品展を続けて参りたいです。

井上 千佳
【学校コメント】 本校は、輪島市の東部に位置し、校区は日本の原風景ともいえる美しい里山里海に恵まれています。2024年の地震と豪雨で二重に被災し、来年度は義務教育学校となることが決まっています。
町野小学校としての最後の年にこのような大きな賞をいただき、心より感謝申し上げます。今も全校児童の半数が仮設住宅で生活する状況の中で、自由な思いを表現できるMOA作品展は子どもたちの心をあたたかく開放する貴重な機会でした。
この受賞を励みに、これからも子どもたちの感性を磨くとともに、復興に向けて前向きに歩む強く豊かな心を育てていきます。
【委員会コメント】 令和6年能登半島地震と大洪水により、町野地域は甚大な被害を受けました。
この賞の授賞は、地域全体にとって大きな励みであり、復興へ向けた希望の光であり、実行委員会にとっても大きな支えとなります。町野小学校の児童、先生方、保護者の皆様に、温かな力となることを願っております。

布川 かほる
【学校コメント】 本校は、石川県能登半島の中央部七尾市に位置し、創立154年目の歴史ある小学校です。運動場や校舎の窓からは、前田利家で知られている小丸山城址公園を眺めることができます。
今後も、めざす児童像の「自分から・知恵と工夫・思いやり」を大切に、319名の子ども達とともに学校教育活動に取り組んで参ります。ありがとうございました。
【委員会コメント】 この度は「学校奨励賞」という名誉ある賞を頂戴し、実行委員会一同、喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。震災直後だった昨年に比べて明るい作品が増え、こどもたちと一緒に震災を乗り越えてきています。
今後も心豊かな情操を養う作品展を続け、地域の方々とともに笑顔あふれるまちづくりに努めてまいります。

河瀬 実浩
【学校コメント】 本校は、岐阜県西部に位置する、創立155年を迎える全校児童617名の学校です。西には霊峰伊吹山を仰ぎ、水都大垣の名のごとく豊かな自然環境にあって、地域の皆様の厚い信頼と協力をいただいて教育活動を進めて参りました。
この度の栄えある受賞を励みに、一層、温かい心と創造力の育成に取り組んで参ります。
【委員会コメント】 この度は、大垣で4度目の学校奨励賞をいただきましてありがとうございます。
行政、学校、保護者、地域の皆さまのご協力のもと作品展を開催する事が出来ましたまた、大垣は歴史ある街でもあり、美術文化も盛んでたくさんの作品応募があります。
皆さまに感謝を送りつつ、希望であふれる子どもたちに育ってもらいたいと思います。

東野 英明
【学校コメント】 本校は、大阪市城東区の東部に位置し、旧地名の鯰江(現在は今福)の東にあったことから1980年鯰江小学校より独立、鯰江東小学校となり創立46年を迎える学校です。
この度は、学校奨励賞受賞となり子どもたちや保護者、地域すべての人が喜んでいます。全校児童652名の活気あふれる学校です。「仲良く」「強く」「正しく」を学校目標に日々の活動をしています。その中でも運動会や作品展など、子どもたちの意欲あふれる行事がたくさんあります。
今回の受賞を励みにこれからも地域とともに教職員も子どもたちと歩んでいきたいと思います。
【委員会コメント】 文部科学大臣賞学校奨励賞、受賞おめでとうございます。
今年度は、城東区内の小学校14校から絵画、書写の総計1080点の応募があり、鯰江東小学校からは223点の出品をいただきました。鑑賞指導や積極的な出品は学校と地域との一体化が基盤になって、子どもたちの豊かな心を育んでいる成果だと思います。

【団体賞コメント】 当会場は、札幌市に隣接する江別市(人口約12万)において、市内17校の小学校のうち、14校から作品を応募いただいておりますが、特に市教育委員会傘下のセラミックアートセンタ―(市立博物館・美術館)を会場に作品展を開催することで、市や教育委員会からより一層の支援を受けて、近年では、北翔大学の学生さんたちのボランティアをいただくことで、若い人たちの新たな視点を取り入れながらの作品展を実施することができています。
これからも、社会全体で子供たちの生きる力を育む作品展となるよう一層努力してまいりたいと思います。

【団体賞コメント】 第36回MOA美術館全国児童作品展において、内閣府特命担当大臣賞という大変名誉ある賞を賜り、心より感謝申し上げます。
人口2,000人に満たない東白川村では、子どもから高齢者までが一つになり、学校・文化協会・教育委員会・地域の皆さんとともに作品展をつくり上げてきました。日本文化の実践や地域の温かな協力が、このたびの受賞につながったものと深く感謝しております。
今後も文化の力で心の豊かさを育み、“文化の香り立つ村”を次代へ継承してまいります。
絵画の部 総評
絵を描く活動は、一般的に「表現」と言われます。「再現」ではなく「表現」という言葉には、単に本物のように描く技術的な巧さだけでなく、「何をどう感じ取り、それをどう表現しようとしたのか」という、作者である児童の皆さんの思いや願い、創意工夫が込められています。
絵は、自分の目に映るものをすべて描くのではなく、表したいことを基に、何を描いて何を描かないかという取捨選択が必要です。賞を受賞された作品には、自分が一番表現したいものや心に残った場面を画面いっぱいに大きく描いたり、鮮やかな色彩を工夫したり、あるいは思い切った大胆な構図で描いたりしたものが多く見られました。どの作品からも、独自の着眼点で対象を捉え、自分なりの表現方法で描いている姿が伝わってきました。
このコンクールでは、絵だけを見て審査をするのではなく、絵と題名、そして感想文を照らし合わせながら、作者である児童の皆さんが何を感じてどのように工夫し表現したのかという意図をできるだけ丁寧に読み取ることを大切にしています。
題名や説明文などを見ると、「なるほど」と納得がいったり、「そうだったのか」と驚かされたりすることが多くあります。人の心を動かす絵には作者が何を描きたいかという思いがしっかりと込められており、今回賞に入った作品はどれもその熱意が伝わってくるものでした。
絵を描くことは、感性や創造性、豊かな情操を育むと言われますが、大切なのは、絵を描くことを通してどのような時間を過ごしたか、というプロセスだと思います。絵を描くという活動を通して、普段とは違った視点から自分の生活や身の回りを見直したり、新たな発見をしたり、深く考えたり、自分自身と向き合ったりする時間を持つことが大切です。
今後とも、このコンクールが、子どもたちの豊かな感性や創造性、情操などを育むことにつながっていくことを願い、審査講評とさせていただきます。
環太平洋大学教授 村上尚徳