MOA美術館の創立者岡田茂吉は、「真善美」に満ちた理想社会を築く上での基盤として、特に「美」の普及に意を注ぎ、美術・文化活動を奨励しました。当館では、日本および東洋における優れた美術品の公開や日本の伝統芸能の振興を始め、人々の美意識の高揚と家庭・地域の環境美化を図るための、いけばなや茶の湯、音楽活動等を推進しています。
児童作品展は美術館活動の中で、特に日頃子どもたちが取り組んでいる創作活動を奨励することで、「生命を尊ぶ心」「心ゆたかな人間」形成を目的として、地域で実行委員会を組織し、ボランティアを募り、家庭、地域、学校と連携して取り組んでおります。
本年度の児童作品展は、海外12カ国30会場を含む414会場にて開催し、応募総数452,759点、参加校数8,953校(国内8,344校、海外609校)となりました。この度、各会場の代表作品(MOA美術館奨励賞)を審査し、個人賞・団体賞を選出し全国展(2016年1月1日~2月17日)開催いたします。
ご協力を賜りました関係各位に衷心より感謝申し上げますと共に、これからも未来に羽ばたく子どもたちに、夢と希望を与えられる児童作品展として、皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
開催期間 | 展示 平成28年1月1日(金)から2月17日(水)まで 表彰式 平成28年1月31日(日)午前10時より 於 能楽堂 |
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主催 | 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館) |
後援 |
文部科学省 外務省 厚生労働省 農林水産省 日本ユネスコ国内委員会 公益社団法人日本PTA全国協議会 公益社団法人全国子ども会連合会 公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 公益財団法人海外日系人協会 全国新聞社事業協議会 全国連合小学校長会 |
参加対象 | 応募総数452,759点(絵画303,095・書写149,664)、参加校数8,953校、会場数414会場(国内384・海外30)における「MOA美術館奨励賞」の作品の中から入賞・入選300点を展示 |
審査員 |
絵画の部 大久保正義 元上川教育研修センター所長 白藤茂 岩手芸術祭洋画部門理事 小川正明 女子美術大学理事 附属高等学校・中学校長 前知津子 氷見市美術協会会長 石川純 元名古屋市造形教育研究会会長 橋本慶子 元大阪府公立小中学校美術教育研究会会長 秋元美知子 美作大学非常勤講師 秋山武俊 三豊市立詫間中学校教諭 木下伸弘 長崎県美術協会会長 神山泰治 琉球大学名誉教授 道越洋美 藤枝市立広幡中学校教諭 村上尚徳 環太平洋大学教授 岡田京子 文部科学省教科調査官 齋藤賢純 厚生労働省雇用均等・児童家庭局少子化総合対策室室長補佐 遠藤友麗 聖徳大学生涯学習課講師、公益財団法人岡田茂吉美術文化財団理事 内田篤呉 MOA美術館館長 書写の部 高橋順一 鎌倉女子大学非常勤講師 五島美孝 元名古屋書写教育研究会会長 藤井義秀 奈良県教育委員会事務局学校教育課指導主事 長野秀章 東京学芸大学名誉教授 齋藤賢純 厚生労働省雇用均等・児童家庭局・少子化総合対策室室長補佐 加藤泰弘 文部科学省教科調査官 東京学芸大学教授 団体の部 長野秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤泰弘 文部科学省教科調査官 東京学芸大学教授 遠藤友麗 聖徳大学生涯学習課講師、公益財団法人岡田茂吉美術文化財団理事 岡田京子 文部科学省教科調査官 齋藤賢純 厚生労働省雇用均等・児童家庭局少子化総合対策室室長補佐 齋藤泰彦 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団業務執行理事 (順不同・敬称略) |
賞 |
絵画の部 文部科学大臣奨励賞 6点 外務大臣賞 3点 厚生労働大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 1点 金賞 5点 銀賞 20点 銅賞 30点 入選 150点 書写の部 文部科学大臣奨励賞 6点 厚生労働大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 1点 金賞 3点 銀賞 5点 銅賞 10点 入選 50点 団体の部 文部科学大臣奨励賞学校奨励賞6校 厚生労働大臣賞2児童作品展実行委員会 |
受賞された皆さん,本当におめでとうございます。
MOA美術館全国児童作品展の「書写の部」には、海外からも含め149,942点の応募があり、出品点数は昨年より増加しました。作品のレベルはとても高く、最終審査に残った作品は本当に力作ぞろいでした。この作品展は日本を代表する屈指の書写のコンクールであり、特に受賞された皆さんの作品は、抜群の完成度でした。また、一緒に届けられている感想文からは、皆さんの作品に対する思い、苦労したところ、家族への感謝の気持ちが伝わってきて本当に心を打たれました。
このコンクールの出品課題は自由です。皆さんは、まず書こうとする言葉を決めることから始めることでしょう。その言葉への思いが、作品の豊かさや広がりにつながってくると思います。低学年は平仮名の言葉を書いた作品が多く、筆を大きく動かして、どうどうとした書きぶりが印象的でした。中・高学年の漢字作品は一点一画の筆使いが着実で、紙面のまとめ方がとてもみごとな作品が多かったです。また、漢字と平仮名が交じっている作品は、それぞれが良く調和し豊かさを感じさせられました。すばらしい作品を仕上げるには、何度も書くことによって、基本点画、字形と文字の配列を着実にしていくことが大切です。そして、次に紙面全体を見わたしながら、一つのリズムに乗って、筆を運んでいくことが重要です。
皆さん、このコンクールに出品することを通して学んだことを、これからの学校生活や将来に生かしてください。
最後に、この作品展に毎年たくさんの作品が応募されることに、深くお礼を申し上げますとともに、学校、地域、家庭が一体となった支援体制のますますの充実を心からお願いする次第です。
文部科学省教科調査官 東京学芸大学教授 加藤泰弘
内田 裕司
【学校コメント】本校は、今年で創立140周年を迎えました。児童数730名余り、区内一の規模です。総合的な体力向上を目指し、運動・食・生活習慣の向上を目指し、それを「からだ力(りょく)」と称して教育活動を進めています。今回、この栄えある賞をいただき感謝申し上げます。今後も子供達の感性をさらに磨き、育てていきたいと思います。
【委員会コメント】桃井第一小学校の受賞は、杉並区にとって大きな喜びであり、励みとなりました。また昨年より女子美術大学のキャンパスに展示ができ、生徒の方々など多くのボランティアの輪が拡がっております。今後も「共に学び共に支え共に創る杉並の教育」の一助となるよう、地域の皆さまと連携を取りながら、児童の情操教育に協力させていただきたいと願っています。
村瀬 とみ子
【学校コメント】本校は、名古屋市の北に位置し、自然に恵まれた豊かな環境にあります。児童数615名、創立35周年の学校です。「あいさつ、そうじ、学び合い、響く歌声、元気な学校」を合い言葉に、地域ぐるみ「チーム曽野」で教育活動を展開しております。この度の栄えある受賞を励みに、子どもたちに、さらなる豊かな感性を育むために努力してまいります。
【委員会コメント】今回の奨励賞受賞は、学校長はじめ先生方と、私たち実行委員も、飛び上がって喜んでいます。小学校では、5年前から日本文化体験授業を、6年生全員に行っています。さらに、クラブ活動と夏季講習で盆点前を学び、表彰式には児童たちが、「おもてなし」に取り組んでいます。食育セミナーもできました。教育委員会としっかりと連携して、今後も家庭、学校、地域と一緒に美育の拡大に取り組みます。
山本 容子
【学校コメント】本校は、校歌にもうたわれています大阪河内の平野守口の東に位置する学校です。創立54年の今年度末をもって、統合のため東小学校の歴史を閉じる運びとなっております。このような、節目の年に東小学校の有終の美を飾るべく栄えある賞をいただきましたことに感謝の思いでいっぱいです。この度の賞を糧に統合校『よつば小学校』へ子どもたちの夢や希望をつないでいきたいと思います。
【委員会コメント】当作品展は、守口市生涯学習情報センター(ムーブ21)で開催して本年で8回目になり、毎年約4,000点の作品が寄せられています。この度の東小学校の受賞を励みに、より地域に根ざした作品展となるよう、学校と家庭、地域とボランティアが手を携え、子どもたちの豊かな創作活動に取り組んでまいりたいと思います。
日樫 宗久
【学校コメント】本校は、奈良県北部に位置し、近くには纏向遺跡が存在し、歴史とロマンあふれる桜井市の中心にある開校32年目を迎えた新しい学校です。今回の栄えある賞を更なる励みとし、美育に力を注ぎ、感性豊かな児童の育成に一層努めて参ります。
【委員会コメント】桜井西小学校は毎年たくさんの出展があり、上位の賞も多く受賞され、MOA美術館奨励賞も三年連続で受賞が有りました。その中で今回の学校奨励賞は実行委員会一同大きな喜びであり、励みとなりました。西小学校は地域の方々とのふれあいの授業をされており、三年前から5年生全員でサークル花器を作りお花をいけて、日々お世話になっている警察、消防署、登下校時のボランティアの方々に感謝の心をこめてお花を届ける取り組みをされています。今後も心身共に健康な人づくり、 町づくりに努力してまいります。
坂尾 幸一
【学校コメント】本校は、倉敷の美観地区と水島の工業地域のほぼ中間に位置し、来年度、創立40周年を迎えます。自然が身近にある学習環境が、子どもたちの豊かな感性を養う上で、大きく寄与しています。今回の栄えある受賞を励みとし、今後も学校・家庭・地域が一体となって、子どもたちの心や表現力を育てる教育を推進してまいります。
【委員会コメント】私たちは、倉敷市への「いきいき子ども支援」にボランティア登録させていただいたことを機に、学校・家庭・地域がより一層連携し、楽しみながら子どもたちの情操教育に取り組んで来ました。この度の受賞に、信じられないという驚きとともに、嬉しさ、そして感謝でいっぱいです。この喜びを励みに、なお一層心豊かなまちづくりに努めてまいります。本当に有難うございました。
井上 和文
【学校コメント】このような栄えある賞をいただき、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。本校は、学校教育目標「つよい子・かしこい子・やさしい子の育成」をめざし、書写・絵画・体力つくり等児童の可能性を伸ばす取組を進めています。今後も学校・家庭・地域が一体となった情操教育を進め、心豊かな児童を育ててまいります。
【委員会コメント】府中児童作品展は14回目の開催となりましたが、このたびの受賞は、市や学校をはじめ実行委員会に大きな喜びとなりました。旭小学校は、第1回目より毎年、優秀な作品を出展されています。府中会場の表彰式では、先生と児童と保護者のコミュニケーションが素晴らしく、その姿に感動し実行委員会の励みとなりました。これからもお花のいけこみ等、美育活動を進め、情操教育から人づくり町づくりに貢献してまいりたいと思います。
【団体賞コメント】名誉ある厚生労働大臣賞団体賞を頂き、関係者一同心より感謝申し上げます。 今回で27回目を迎え5年前より「十和田市立中央病院」を会場に開催させていただいております。来院者や入院患者さんから毎回、「心が癒される」「心が和む」等々多くの反響を頂いております。この作品展の開催を期に、院内に通年の活け込みボランティアや、「十和田市立中央病院ふれあい祭り」へ参加、そして、「東海道五十三次巡回展」を十和田市「駒っ子ランド郷土博物館」と共催したり、更に、他の医療機関や福祉機関や社会福祉協議会のボランティア団体とも連携し合い、若手人材の育成と市民ボランティアの輪が広がりました。 今後とも児童作品展を軸に、市民一人ひとりに「生きる力」に繋がる活動を行政と市民と共に一歩ずつ進めるよう努力してまいります。ありがとうございました。
【団体賞コメント】この様な素晴らしい賞をいただき、実行委員会並びに審査員の先生方、多くのボランティアの皆さんと共に喜び合いました。27回という長い年月継続する事が出来たのも多くの方々の支えや礎の賜と心から感謝申し上げます。本会場は2年前までは厚木・愛川会場として開催して来ましたが、昨年よりそれぞれの地域で実行委員会を立ち上げ再出発しました。今年は、3校、1教室、応募数200点が増加、開催後は、市内4か所の病院や老人ホームとカフェ1か所で年間を通して巡回展示を行い、多くの市民の皆様に楽しんでいただき喜ばれております。この受賞を励みにより一層努力していきたいと思っています。誠にありがとうございました。
絵画の部 総評
「美は人を感化する」と昔から言われている言葉があります。「美の文化、美しく生きる」の教育が今こそ大事になってきております。絵画の部では、30万点を超えるたくさんの応募があり、日本でも最高のコンクールとなっています。美の表現活動を長くされて来られた賜物です。多くの子ども達を学校で指導してくださった教師の皆さんや、美育ボランテイアのお働きが在ればこそのコンクールだと深く感謝いたします。
子ども達に美の心の大切さを根付かせて行く事を広め、全国各地域に於いて子ども達の絵の展示会を行ってきています。今こそ「美の国日本」が「美しいものに感動する心や、美しい心を社会に生かして行くこと」ではないかと思います。
このコンクールは全国各地からたくさんの応募を下さっておりますが、それだけたくさんの子どもたちが絵を描き発表してくださることは「子どもたちが美しい心を、高く優しくお持ちになられておられている」からだと思います。その意味ではこのコンクールは日本の子ども達の心の現れであり、その心は大人になっても忘れずに美しい心として育っていくことでしょう!実際にMOAの全国展表彰式では毎年「かつて大賞を取られた子ども(現在はすばらしい若者)」にも来ていただき、子どもの時に描いた作品が今もいかに有意義かを話してくださっています。物事を美しく見る目と新鮮な心と表現力を豊かに発揮でき、子どもたちが「自分で自分を褒めてやれる」よう、より一層皆様と共に進めて行きたいと思います。
受賞された作品は「熱海のMOA美術館の展示」で終わらずに、その後全国各地に於いても展示発表をし、沢山の方々が観賞されています。これからもその心を豊かに生かし、「美は真なり」の言葉を忘れずに自分力を一層高めていきましょう。
聖徳大学生涯学習課講師 遠藤友麗