現代の日本は、グローバル化、少子高齢化などによって多様な社会へと激しく変化しており、学校教育においても、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」をバランスよく育成することを通じて、これからの社会において「生きる力」をより一層育むことが重要になっています。
MOA美術館児童作品展は,「学習指導要領」にもとづき、子どもたちが自然・環境、社会、他者との関わりを通して、興味や関心をもったことを、感性を働かせながら絵画や書写によって表現することで情操を養い、豊かな心を育てることを目的に開催しています。
子どもたちの創作活動を奨励することは、夢や目標に向かって自ら考え、行動する力を高めると同時にそれぞれの国の伝統と文化への関心を高め国際文化交流に資するものと考えています。
本児童作品展は、2万人を超える全国の美育ボランティアによって支えられ、さまざまな個人、団体と協力しながら、医療福祉機関での巡回展示や、年間を通じた美育活動など、学校・家庭・地域が連携し、社会全体で子どもを育ていくことを重視するもので、このことによって、地域社会の絆を深め、心身ともに健康な活力のあるコミュニティづくりを願っています。
第28回となる本年は、海外13ヶ国31会場を含む421会場で開催し、応募総数462,001点、参加校数9,278校(国内8,514校、海外764校)となりました。このたび、各会場の最優秀作品から厳正な審査によって個人賞ならびに団体賞を選出し、全国児童作品展(2017年2月5日~2月28日)を開催します。子どもたちの多様な個性・能力によって制作された創造性やチャレンジ精神あふれる作品を是非ご鑑賞ください。
本展の開催にあたり、ご協力賜りました関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、今後も未来に羽ばたく子どもたちに夢と希望を与えられる児童作品展としてご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
MOA美術館
開催期間 | 展 示 平成29年2月5日(日)から2月28日(火)まで 表彰式 平成29年2月19日(日)午前10時より 於 能楽堂 |
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主催 | 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館) |
後援 |
文部科学省 外務省 厚生労働省 農林水産省 日本ユネスコ国内委員会 公益社団法人日本PTA全国協議会 公益社団法人全国子ども会連合会 公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 全国新聞社事業協議会 公益財団法人海外日系人協会 全国連合小学校長会 |
参加対象 | 応募総数462,001点、参加校数9,278校、会場数421会場における「MOA美術館奨励賞」の作品の中から入賞・入選300点を展示 |
審査員 |
絵画の部 岡田 京子 文部科学省教科調査官 田口 雅之 厚生労働省少子化総合対策室児童健全育成専門官 遠藤 友麗 聖徳大学生涯学習課講師、公益財団法人岡田茂吉美術文化財団理事 村上 尚徳 環太平洋大学教授、前文部科学省教科調査官 大久保 正義 元上川教育研修センター所長 白藤 茂 岩手芸術祭洋画部門理事 小川 正明 女子美術大学理事、付属高等学校・中学校長 加藤 桂子 元福井市小学校図工部会会長 高橋 智子 静岡大学教育学部准教授 古橋 睦典 元三河小中学校校長会会長 橋本 慶子 元大阪府公立小中学校美術教育研究会会長 大槻 洋子 八尾市文化振興事業団評議員 中村 登 山口学芸大学講師 下 時治郎秀臣 白日会会員、吉野川市文化協会理事 米谷 奈保子 東明館学園東明館中学校・高等学校美術科講師 神山 泰治 琉球大学名誉教授 齋藤 泰彦 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団業務執行理事 書写の部 加藤 泰弘 文部科学省教科調査官、東京学芸大学教授 田口 雅之 厚生労働省少子化総合対策室児童健全育成専門官 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授、前文部科学省教科調査官 高橋 順一 鎌倉女子大学非常勤講師 五島 美孝 元名古屋書写教育研究会会長 藤井 義秀 奈良県教育委員会事務局学校教育課指導主事 団体の部 加藤 泰弘 文部科学省教科調査官、東京学芸大学教授 岡田 京子 文部科学省教科調査官 田口 雅之 厚生労働省少子化総合対策室児童健全育成専門官 遠藤 友麗 聖徳大学生涯学習課講師、公益財団法人岡田茂吉美術文化財団理事 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授、前文部科学省教科調査官 齋藤 泰彦 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団業務執行理事 (順不同・敬称略) |
賞 |
絵画の部 文部科学大臣賞 6点 外務大臣賞 3点 厚生労働大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 1点 金 賞 5点 銀 賞 20点 銅 賞 30点 入 選 150点 書写の部 文部科学大臣賞 6点 厚生労働大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 1点 金 賞 3点 銀 賞 5点 銅 賞 10点 入 選 50点 団体の部 文部科学大臣賞学校奨励賞6校 厚生労働大臣賞2児童作品展実行委員会 |
受賞された皆さん,おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
MOA美術館全国児童作品展の書写の部に,今年は総計で147.415点の応募がありました。作品のレベルと質の高さと出品点数から言えば、本展は日本を代表する屈指の書写のコンクールと言えます。審査におきましては,各賞を受賞された作品の完成度に心を打たれましたが,一緒に届けられている感想文からは作品を書くまでの背景,ひたむきに努力する様子,先生や家族への感謝が伝わってきて本当に感動しました。この作品展への出品を通して,皆さんが大きく成長する姿が感じられました。
書写は書こうとする言葉選びから始まります。その言葉を選んだ個々の思いが、作品の豊かさや広がりにつながってきます。今回の受賞作からはこの言葉への思いがひしひしと伝わってきました。また,一点一画しっかりとしていて,配列がすばらしく,気持ちの充実や集中力が感じられました。
一・二年生の作品は平仮名の作品が多く,堂々と豊かに書かれていました。三年生以上の作品の多くは漢字と平仮名が交じっている作品でしたが,直線的で画数の多い漢字と曲線的な平仮名をうまく調和させ、紙面にぴたりとおさめている作品ばかりでした。ここでの貴重な体験をこれからの学びや将来に生かしてほしいと思います。また,日本語は漢字,平仮名,片仮名という三つの文字があり,身の回りには文字文化が広がっています。特に高学年の皆さんは,その豊かさに触れてみてください。
最後に、このコンクールに毎年たくさんの作品が応募されることに、深くお礼を申し上げますとともに、学校、地域、家庭が一体となった支援体制のますますの充実をお願い致します。
文部科学省教科調査官、東京学芸大学教授 加藤泰弘
寺本 聡
【学校コメント】本校は、北海道の東部・オホーツク海に面した畑作を基幹産業とする小さな町にあります。6校あった小学校を再編統合し、町内唯一の小学校となって5年になります。「響け心に 輝け笑顔 小清水の大地に拓け未来」の教育目標のもと、この度の栄えある賞を糧として、子どもたちの未来に向けて一層の努力をして参ります。
【委員会コメント】この度の学校奨励賞の受賞は、児童・保護者・学校をはじめ小清水町そして、支えてくださった町民ひとりひとりの大きな喜びです。流氷の接岸する町、ナショナルトラスト、原生花園、畑作と酪農の町小清水町の本当の宝物は、豊かな感性をもち、創造し夢みる子どもたちが、やがてこの町の担い手となってくれると思うからです。今年は小中高の作品展に成長しましたが、園児も加え、町の子ども全員の作品展にしていきたいと思います。
新村 茂昭
【学校コメント】本校では児童の良さを伸ばし世界で活躍する人材を育成してまいりたいと考えております。このたびの受賞は、これまでの児童とその教育にかかわってこられたすべての人の努力の結実であり、これからの児童のさらなる励みになるものと確信しております。このような栄えある賞をいただき関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
【委員会コメント】熱海市は教育長が実行委員長を務め、市内全ての小学校が参加しています。年々、児童が減少しているにも関わらず、同水準の応募数を維持しているのは、児童・保護者、教員の意識の高さを物語っています。表彰式には、多くの団体・企業から後援をいただき16に及ぶ賞が設置され、市を挙げて児童の健全育成に寄与しています。
為野 省蔵
【学校コメント】本校は大阪市南部に位置し、児童数440名余りで、創立74年の学校です。校訓「強く・正しく・美しく」のもと、ここ数年は特に表現活動に力を入れて教育活動を進めてきました。今回の受賞をきっかけに、さらに学校・家庭・地域が一体となって、子ども達の感性や表現力を育てる教育を推進してまいります。
【委員会コメント】今回の学校奨励賞の受賞は、住吉区や小学校において大きな喜びと感動を頂いております。清水丘小学校では、落着いた教育環境の中で表現する力として音楽や図画工作に力を注いでおられ、過去に2回全国展で大きな賞を受賞されております。私達は美育を通して心身ともに健康なまちづくりにより一層の努力をしてまいります。
野田 泰生
【学校コメント】本校は、和歌山県北部、熊野古道が通る海南市の西部に位置し、来年度創立140周年を迎える歴史のある学校です。「美しい心(やさしさ)、強い体(たくましさ)、みがく頭(かしこさ)」を合言葉に教育活動を展開しています。今回の栄えある受賞を励みに、感性豊かな児童の育成に一層努めてまいります。
【委員会コメント】当展示会場の恵まれている点は、JR海南駅構内にある市の物産観光センターのかいぶつくんギャラリーに、2週間に渡って無償で借りられ展示ができることです。海南駅を利用するお客様にも作品を鑑賞する方が増えてきています。表彰式後も市の海南医療センターロビー1階ホールの一角を提供していただき、入賞作品18点を2週間展示します。患者さんや来院の方の心を癒す助けになればと思っています。このたびの受賞は、市や学校をはじめ実行委員会に大きな喜びとなりました。今後も心身共に健康な人・町づくりに努力してまいります。
國當 信幸
【学校コメント】本校は,尾道市のほぼ中央に位置し,多島美を有する瀬戸の海を望む丘に建つ学校です。今年で開校30年目を迎えました。「三幸四つの宝」(挨拶,くつそろえ,無言掃除,美しい歌声)を大切にしながら,学校文化の構築を目指しております。今回の栄えある賞を励みとし,今後も美育を通して豊かな心を養い,生きる力を育てて参りたいと思います。
【委員会コメント】尾道児童作品展は28回目の開催です。この度は三幸小学校創立30周年という良き年にこの賞をいただき、学校、地域、実行委員会にとって大きな喜びとともに励みになりました。三幸小学校では長年のいけこみやお茶、お花のクラブ活動、そして二分の一成人式、台湾の児童に日本文化の紹介など、教職員と協力しながら美育活動を進めています。これを機会になお一層子ども達が心豊かに育っていくよう努めていきます。
與古田 思信
【学校コメント】本校は、沖縄本島南部では戦争がまだ繰り広げられていた1945年5月7日、戦争の苦しみの中にあっても教育を守りぬこうとする住民の熱意が盛り上がり開校しました。沖縄県における戦後の学校教育発祥の地です。みほその町・石川にちなんで「みとめる」「ほめる」「そだてる」のみほそ教育を実践しています。今回、この栄えある賞を頂き、感謝申し上げます。この賞は、児童や職員だけでなく、多くの方々のご協力もあって頂いたものです。大変感謝致します。この賞を励みとし、今後とも児童の豊かな感性を育む教育を推進していきます。
【委員会コメント】この度、学校奨励賞という素晴らしい賞をいただき、学校長はじめ先生方、私たち実行委員会共々大きな喜びを分かち合っております。うるま市児童作品展では、教育委員会、学校、地域の皆さまのご支援、ご協力のもと、毎年、学校法人含む市内全19校から約3,000点の応募をいただき、9回目の開催を迎えました。今回の奨励賞を励みに、教育委員会、地域との連携を深め、美を通して子どもたち一人ひとりの「生きる力」を育み、心豊かな心身ともに健康な人、まちづくりに努力してまいります。
【団体賞コメント】この度はこのような素晴らしい賞を頂き、実行委員一同心より感謝申し上げます。当児童作品展は、一小学校の作品展からスタートし、市政50周年を機に鯖江市全体で行い、本年で12回目を迎え、「毎年何か一つ新しい事をやろう。」をスローガンに、作品展を積み上げ、展示と合わせて①茶の湯コーナー、②花展、いけばな体験コーナー、③サークル花体験コーナー、④食育体験コーナーも設けてきました。
2年前に、全国展の審査員である遠藤先生に福井県においで頂き、教職員を中心に美育セミナーを実施し、参加された校長先生からは「美育の意味がわかった。MOA児童作品展の願いがよくわかった。」と、鯖江市の表彰式には、2年続けて全12小学校の校長先生が出席して頂けるようになりました。
校長先生方の協力を頂き、現在はいけこみを中心に、お花やお茶やサークル花のクラブや授業、先生方を対象にしたお花講習会も季節毎に実施しています。本年からは3年前に文部科学大臣学校奨励賞を頂かれた神明小学校の西川元校長先生も、実行委員になって頂き、実行委員会もパワーアップした時だけに、喜びもひとしおです。
今後も地域・学校と組んで、美による町づくりにさらにステップアップしていきたいと思います。ありがとうございました。
【団体賞コメント】この度は、厚生労働大臣賞をいただき実行委員会一同心より感謝申し上げます。雲南地域で長年、花のいけ込み、学校でのお茶・花の授業を行う事で、児童作品展参加校や出品作品が増えてきました。そうした中、実行委員長・副実行委員長のご尽力により、地元企業からの賞の交付と協賛、全国児童作品展優秀作品の巡回展、児童作品展への高校生のボランティア参加や、地域児童作品展巡回展の開催会場の増加と、地域住民、小学校のボランティアの参加、紅白梅図屏風(レプリカ)による鑑賞授業等、年々美育として充実してまいりました。これからも、今回の受賞を励みに、市民活動としての美育を進めてまいります。
絵画の部 総評
MOA美術館は、毎年子どもたちの絵のコンクール児童作品展を開催しています。「絵は世界をつなぐ!」といったのは、亡き東京芸術大学学長、日本感性教育学会会長だった平山郁夫先生でした。亡き平山先生は「子どもの時から絵を描くことは、豊かな感性と表現力と世界をつなぎ育てる上でとても大事なことです。」といっておられ、海外のいろいろな国に行かれ子どもたちに絵を教えてくださってきた方です。MOA美術館児童作品展は正に「豊かな感性と表現力は世界をつなぎ育てる」ことと通じていると思います。
海外作品が増えてきていますが、「日本は美の国、美の学校教育」が行われると思ってくださっていると思います。それだけ価値の高いコンクールになっています。
「美は人を感化する」という教えがありますが、まさに日本は感性豊かな国になっています。MOA美術館に絵や書を送ってくださっている小学生やそれを育てくださっている先生方や美しい心を持ったボランティアの方々のいろいろなご指導、ご支援があってのことに他なりません。いろいろな方々が、いろいろな所からこの「児童作品の創作」に協力してくださっていることは感謝にたえません。誠にありがとうございます。子どもたちも生涯忘れられない心になると思います。
子どもたちの絵の作品が年々たくさんになってきていることは、学校での絵画授業のみならず生徒自体が豊かな感性を持ち、地域の方々をも交えて子どもたちに支援してくださっている表れと思っています。皆様に感謝を申し上げます。
子どもの時から絵の工夫をして描いていくことは、心と感性を豊かにするものであり、ここに美育の心の根源があるのだと思います。今後ともこの絵の受賞にて子どもの感性と知育が一層高まり、各学校においても絵にかかわる指導が一層高まるものと思います。
毎年ながらこのコンクールが「心の世界もつなぐ働きを持っている」ということであって、その人その人の心と感性が一層豊かに育っていくものと思っています。MOA美術館のもとに今後一層子どもたちのコンクールが高まっていくことを期待いたします!!
聖徳大学生涯学習課講師 遠藤友麗