現代の日本は、グローバル化、少子高齢化などによって多様な社会へと激しく変化しており、学校教育においても、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」をバランスよく育成することを通じて、これからの社会において「生きる力」をより一層育むことが重要になっています。
MOA美術館児童作品展は、「学習指導要領」にもとづき、子どもたちが自然・環境、社会、他者との関わりを通して、興味や関心をもったことを、感性を働かせながら絵画や書写によって表現することで情操を養い、豊かな心を育てることを目的に開催しています。
子どもたちの創作活動を奨励することは、夢や目標に向かって自ら考え、行動する力を高めると同時にそれぞれの国の伝統と文化への関心を高め国際文化交流に資するものと考えています。
本児童作品展は、2万人を超える全国の美育ボランティアによって支えられ、さまざまな個人、団体と協力しながら、医療福祉機関での巡回展示や、年間を通じた美育活動など、学校・家庭・地域が連携し、社会全体で子どもを育ていくことを重視するもので、このことによって、地域社会の絆を深め、心身ともに健康な活力のあるコミュニティづくりを願っています。
第31回となる今年度は、海外11ヶ国35会場を含む409会場で開催し、応募総数439,893点、参加校数9,086校となりました。このたび、各会場の最優秀作品から厳正な審査によって個人賞ならびに団体賞を選出し、全国展を開催します。子どもたちの多様な個性・能力によって制作された創造性やチャレンジ精神あふれる作品を是非ご鑑賞ください。
本展の開催にあたり、ご協力賜りました関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、今後も未来に羽ばたく子どもたちに夢と希望を与えられる児童作品展としてご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
MOA美術館
開催期間 | 展 示 2020年1月11日(土)から2月12日(水)まで 入選作品300点を展示 於:円形ホール 表彰式 2020年1月26日(日)午前10時より 於 :館内能楽堂 |
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主催 | 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館) |
後援 |
文部科学省 外務省 厚生労働省 農林水産省 環境省 日本ユネスコ国内委員会 公益社団法人日本PTA全国協議会 公益社団法人全国子ども会連合会 公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 全国新聞社事業協議会 公益財団法人海外日系人協会 全国連合小学校長会 |
参加対象 | 応募総数439,893点、参加校数9,086校、会場数409会場における「MOA美術館奨励賞」の作品の中から入賞・入選300点を展示 |
審査員 |
絵画の部 岡田 京子 文部科学省教科調査官 依田 秀任 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課児童環境づくり専門 井對 真也 環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室利用推進・自然教育係長 遠藤 友麗 元聖徳大学生涯学習課講師、MOA美術館児童作品展シニアアドバイザー 村上 尚徳 環太平洋大学副学長 成田 慎司 旭川市立明星中学校教諭 佐々木 彰子 前秋田県造形教育研究会顧問 菅野 恭子 東京都教育庁指導部指導企画課指導主事 和多田 訓子 元福井市小学校教育研究会図画工作部会長 富永 雄一 浜松市教育委員会学校教育部指導課指導主事 森 敏子 三重県洋画協会副会長 笹倉 尚光 兵庫県三田市立ひまわり特別支援学校教諭 春日 裕次 島根県立浜田高等学校教諭 増田 和剛 学校法人高知学園高知中学高等学校教諭 栄村 ひと恵 日本美術家連盟会員 金城 安正 元沖縄県造形教育連盟会長 齋藤 泰彦 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団代表理事 書写の部 豊口 和士 文部科学省教科調査官、文教大学教授 依田 秀任 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課児童環境づくり専門官 井對 真也 環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室利用推進・自然教育係長 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤 泰弘 東京学芸大学教授 高橋 順一 川崎市小学校初任者研修担当 五島 美孝 元名古屋書写教育研究会会長 藤井 義秀 奈良県教育委員会事務局学校教育課指導主事 団体の部 岡田 京子 文部科学省教科調査官 豊口 和士 文部科学省教科調査官、文教大学教授 依田 秀任 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課児童環境づくり専門官 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤 泰弘 東京学芸大学教授 遠藤 友麗 元聖徳大学生涯学習課講師、MOA美術館児童作品展シニアアドバイザー 齋藤 泰彦 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団代表理事 (順不同・敬称略) |
賞 |
絵画の部 文部科学大臣賞 6点 外務大臣賞 3点 厚生労働大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 環境大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 2点 金 賞 5点 銀 賞 18点 銅 賞 30点 入 選 150点 書写の部 文部科学大臣賞 6点 厚生労働大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 環境大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 1点 金 賞 2点 銀 賞 5点 銅 賞 10点 入 選 50点 団体の部 文部科学大臣賞学校奨励賞6校 厚生労働大臣賞2児童作品展実行委員会 |
まずは、受賞された皆さんにお祝い申し上げます。そして、出品されたすべての児童の皆さんの出品に向けてのご努力を心より讃えたいと思います。
MOA美術館全国児童作品展は、今回で第31回展を迎え、その歴史に加え、書写の部では海外からの出品も含め135,710点が出品される、国内屈指の最大規模の作品展です。
文字を書くことはそれ自体が文化で、毛筆には特別な効果や魅力があります。小学校で学習する書写では、毛筆がもつ特別な効果や魅力を強く意識する機会はあまりないかもしれませんが、毛筆の魅力や豊かさ、美しさを感じ取ることができるようになれば、日常生活の中で文字を書くことにもより興味をもって臨めるでしょうし、自分自身の成長を感じることができる機会になるかもしれません。皆さんの感想文からは、そうした気持ちが伝わってきます。これからも、皆さんの生活の中でも生かされている文化として、文字を書くことや書に親しみ、皆さん自身も生活の中で積極的に生かしていってほしいと思います。
審査に当たっては、筆使いや運筆、字形や字配り、紙面構成や作品としてのまとまりなどの他、こうした姿勢や思いもまた重要な観点となります。書写の活動を通じて、皆さんなりに日本の文化と向き合い、親しんでください。文字や言葉を書くこと、文字や言葉で伝えることの意味や大切さを感じ取る感性を高めていってください。そして、たくさんのことを考え、色々なことを学んでもらえたら嬉しく思います。
このたび参加されたすべての児童の皆さんの出品に当たりまして、ご指導に当たられた学校や地域の先生方、ご家族の皆様には、並々ならぬご協力・ご支援を賜ったことと存じます。心より御礼申し上げるとともに、今後とも学校・家庭・地域が一体となった支援体制の充実にご助力くださいますようお願い申し上げます。
文部科学省教科調査官、文教大学教授 豊口 和士
山田 菊代
【学校コメント】本校は、兼六園のそばに位置し、浅野川の満開の桜など、春夏秋冬美しい景観が楽しめる環境です。今回の栄えある受賞は、学校をはじめ、保護者や地域にとっても大きな喜びであります。この賞を励みに、「ふるさと金沢を愛し、心豊かでたくましく、未来に向かって輝く子」の育成を目指して、なお一層努力してまいります。
【委員会コメント】金沢会場は、児童の情操教育を願いに、夏休み期間を利用しサマースクールとして市内10校でサークル花器づくりといけ花体験の場を保護者と児童が一緒になって行っています。また、移動展は、金沢大学付属病院など三か所、老人福祉施設二か所で展示し心身ともに健康なまちづくりを行っています。また、紅白梅図屏風レプリカを展示し、金沢の文化である茶の湯体験を授業とし2校で行っており、美育活動が着実に浸透し定着しています。今回の受賞は、地域や行政、実行委員会にとっても大きな励みとなっており、これも学校長はじめとする先生方のご理解とご協力のおかげであると感謝しております。今後とも家庭、学校、地域が一体となり子どもたちの健全なる成長を願って努力してまいります。
中西 直美
【学校コメント】本校の子供たちは、学校や地域で、絵や書、音楽やダンス、俳句等で楽しく自己表現をしています。栄えある賞をいただいたことは、子供たちや教職員にとりまして大きな喜びとなりました。今後も自然体験や本物体験等をとおして子供たちの感性を磨き、表現活動をより一層楽しむ子供たちを育てて参りたいと思います。
【委員会コメント】伊東市実行委員会は「より良い作品は明るい家庭から生まれる」をモットーに、作品に籠められた児童の想いや努力を聴き取ることに力を入れています。それが児童や家族の喜びを生み、翌年の創作意欲に繋がっていると実感しています。今回の学校奨励賞受賞を励みに、さらに健全で文化豊かなまちづくりに貢献したいと思います。
稲川 貴士
【学校コメント】本校は、岐阜県南西部に位置し、明治9年に開校した児童数494名の学校です。今年は小学校社会科全国大会の会場校としても多くの皆様に御参観をいただきました。今回、栄えある賞をいただき関係者の皆様に心より感謝申し上げます。これを励みとして、今後とも地域の皆様や家庭と連携し、「めあてをもって進んでやりぬく子」の具現に努めてまいります。
【委員会コメント】年号が令和に変わって初めての児童作品展において、さらに30回という節目の年だった昨年に引き続き、大垣市より2年連続で「学校奨励賞」という素晴らしい賞をいただくことができました。私たち実行委員会にとりましても大きな喜びとと感動をいただきました。これからも地域の児童の皆さんに感動を素直に表現できる機会として児童作品展に出展していただけることを願いに、私たち実行委員もONE TEAMとなって地域や学校とともに頑張ってまいります。
藤原 二郎
【学校コメント】本校は、大阪府の中央部の北側に位置する豊中市にある全校児童1091名の学校です。昭和24年に開校し、平成30年度には創立70年を迎えました。今回、この栄えある賞をいただき、関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。この賞を励みに、今後とも、家庭や地域と連携して、豊かな情操を培う取組の充実に努めてまいります。
【委員会コメント】令和元年に上野小学校がこのような素晴しい賞を受賞され市長、教育長はじめ我々実行委員会も喜びと感動でいっぱいです。上野小学校は毎年多くの優秀な作品を出展されています。又、近隣の実行委員の方が長年にわたり学校への生け込み活動等を通し、先生方との信頼も厚く、作品を届けて下さっています。今年は、300点以上もの作品を名簿順に並べる作業も手伝っていただきました。今後も学校、家庭、地域が連携し子供達が美を通して「心の豊かさ」を育み、心身共に健康な人づくり・町づくりへとより一層努力してまいります。
後藤 剛志
【学校コメント】本校は,倉敷市の南東部に位置し,古くから繊維産業が盛んな児島地区にある全校児童726名の学校です。倉敷市では毎年「倉敷っ子美術展」を開催し,市内の小中学生が制作した絵画や工作などの作品を展示して,芸術の振興を図っています。今回,栄えある賞をいただき,造形活動の環境づくりに一層努めてまいります。
【委員会コメント】新しい時代のスタートでもある令和元年度の児童作品展において「学校奨励賞」というすばらしい賞をいただくことができました。平成30年の西日本豪雨により、倉敷市真備地区では甚大な被害を受けました。倉敷市がひとつになり真の復興に取り組んでいる中での受賞は、倉敷市長をはじめ教育関係者、実行委員会の大きな励みと喜びになりました。児島小学校は第一回児童作品展より、数多くの優秀作品を出展していただいております。元気に挨拶をされる児童の皆さんや美しく環境整備された校内を拝見し。校長先生並びに諸先生方の教育に対する姿勢に、感銘を受けております。未来を担う多くの子どもたちの「生きる力、思いやりの心、美しい心」の育成を願い、地域社会の絆を深め、心身ともに健康なj活力あるコミュニティづくりに努力していきたいと思います。
樋口 治
【学校コメント】本校は,倉敷市の南東部に位置し,古くから繊維産業が盛んな児島地区にある全校児童726名の学校です。倉敷市では毎年「倉敷っ子美術展」を開催し,市内の小中学生が制作した絵画や工作などの作品を展示して,芸術の振興を図っています。今回,栄えある賞をいただき,造形活動の環境づくりに一層努めてまいります。
【委員会コメント】新しい時代のスタートでもある令和元年度の児童作品展において「学校奨励賞」というすばらしい賞をいただくことができました。平成30年の西日本豪雨により、倉敷市真備地区では甚大な被害を受けました。倉敷市がひとつになり真の復興に取り組んでいる中での受賞は、倉敷市長をはじめ教育関係者、実行委員会の大きな励みと喜びになりました。児島小学校は第一回児童作品展より、数多くの優秀作品を出展していただいております。元気に挨拶をされる児童の皆さんや美しく環境整備された校内を拝見し。校長先生並びに諸先生方の教育に対する姿勢に、感銘を受けております。未来を担う多くの子どもたちの「生きる力、思いやりの心、美しい心」の育成を願い、地域社会の絆を深め、心身ともに健康なj活力あるコミュニティづくりに努力していきたいと思います。
【団体賞コメント】この度は名誉ある賞をいただき、関係者一同心より感謝申し上げます。当会場は岩手県の北部7市町の広域から53校の参加を得て開催する大変大きな作品展となっています。震災以降、年々過疎化が進む事で、地方都市開催が厳しい状況にありますが、多くのボランティアのお力で広いエリアをカバーし、近年は、地元大学や企業等からもボランティア参加が増えてきました。そして多くの方に児童の作品を触れていただきたいとの願いが拡がり、医療福祉機関や公共施設、商店街等への移動展へと拡がり、既に来年移動展の申し込みをされる病院、商店街があります。こうした背景には、地元小中学校や福祉施設等へのお花の活け込み、一輪花・美術鑑賞等の体験授業を継続的に行っていること、また今年度は不登校生徒の受入れに取り組む地元高校での一輪花体験授業の様子を新聞やテレビなどで取り上げて頂くことでMOA 美育への関心度が確実に拡がり、またラグビーワールドカップ2019釜石開催のボランティア団体にも登録し、子供たちとのお花体験の場を通して、大会を盛り上げました。来年は東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンである4市町での日本文化体験と鑑賞を中心にした活動を予定しています。この栄えある受賞を機に「美」による子供たちの成長やまちづくりにより一層取り組んでまいります。
【団体賞コメント】この度は名誉ある賞を頂き、実行委員会一同心より感謝申し上げます。当委員会は香川県の中讃地域3市4町全ての小学校(49校)が参加されています。又、作品展の趣旨に賛同頂く坂出東ロータリークラブをはじめ、50余の団体から広告協賛を頂き、「美育ボランティアさくら(坂出市登録団体)」との共催のもと、90名のボランテアによって支えられています。地域に根差した作品展を願いに、現在4会場で展示・表彰式を開催し、寄贈頂いた作品を独立行政法人 国立病院機構「四国こどもとおとなの医療センター」内のギャラリーや病室に常設展示し、「心の栄養、元気をくれる子どもの絵」と多くの喜びの声を頂いています。今後もこの度の受賞の喜びを胸に地域の方々と心を合わせ、医療福祉機関での展示を通して多くの人々に感動と癒しを与え、子どもたちの生きる力を高めたいと思います。
絵画の部 総評
絵画の全国審査では、学年ごとにたくさんの絵が並び、それを多くの審査員の先生方が見て回りながら、上位の作品を選んでいきます。そのときに、思わず目がとまる作品があります。それは、何が描きたいかということを作者がしっかりと持って、気持ちを込めて描いた作品です。
絵は、描く技術も必要ですが、それ以上に何を感じ取り何を表現するかという、ものの見方や感じ方、発想や構想の仕方が大切です。今回、受賞されたみなさんの作品は、このような作者独自の着眼点や発想、描き方の工夫などが見られるものばかりでした。それぞれの作品の題名や感想文を読むと、描いた人たちの思いや願い、感動したことなどが伝わってきて、心が温かくなります。絵を描くと感性や創造性、情操などが養われると言われますが、単に絵を描けばよいのではなく、絵を描くことを通してどのような時間を過ごしたかが重要だと考えます。
MOA美術館全国児童作品展は、このような子供たちが、絵を描くプロセスを通して、普段とは違った視点から生活や身の回りのものを見直したり、様々なことに気付いたり、考えたり、自分のことを振り返ったりすることを大切にしています。そのため、審査に当たっては、絵と題名を見ながらできるだけ丁寧に、作者の表したいこと、意図や表現の工夫などを読み取ることを大切にしています。
本コンクールでは、子供たちの様々な体験を基にした思いや願いが込められた作品が数多く出品されます。今の子供たちは、生活の中での自然体験や社会体験が少なくなっていると言われていますが、絵に描いて振り返ることで、少ない体験であってもそこから得るものは大きくなるのではないでしょうか。
今後とも、このコンクールが、子供たちの感性や創造性、豊かな情操などを育成することにつながってくれることを願い、審査講評とさせていただきます。
環太平洋大学 副学長 村上尚徳