現代の日本は、グローバル化、少子高齢化などによって多様な社会へと激しく変化しており、学校教育においても、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」をバランスよく育成することを通じて、これからの社会において「生きる力」をより一層育むことが重要になっています。
MOA美術館児童作品展は、「学習指導要領」にもとづき、子どもたちが自然・環境、社会、他者との関わりを通して、興味や関心をもったことを、感性を働かせながら絵画や書写によって表現することで情操を養い、豊かな心を育てることを目的に開催しています。
子どもたちの創作活動を奨励することは、夢や目標に向かって自ら考え、行動する力を高めると同時にそれぞれの国の伝統と文化への関心を高め国際文化交流に資するものと考えています。
本児童作品展は、全国の美育ボランティアによって支えられ、さまざまな個人、団体と協力しながら、医療福祉機関での巡回展示や、年間を通じた美育活動など、学校・家庭・地域が連携し、社会全体で子どもを育てていくことを重視するもので、このことによって、地域社会の絆を深め、心身ともに健康な活力のあるコミュニティづくりを願っています。
本展の開催にあたり、ご協力賜りました関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、今後も未来に羽ばたく子どもたちに夢と希望を与えられる児童作品展としてご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
MOA美術館
開催期間 | 展 示 2023年1月7日~2月15日 入賞入選300点と団体賞の展示紹介 於:円形ホール 表彰式 2023年1月29日 於:能楽堂 |
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主催 | 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館) |
後援 |
文部科学省 外務省 厚生労働省 農林水産省 環境省 日本ユネスコ国内委員会 公益社団法人日本PTA全国協議会 公益社団法人全国子ども会連合会 公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 全国新聞社事業協議会 公益財団法人海外日系人協会 全国連合小学校長会 |
参加対象 | 海外11ヶ国25会場を含む292会場で開催.応募総数186,954点、参加校数5,581校 |
審査員 |
絵画の部 小林 恭代 文部科学省教科調査官 高根沢 景 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課児童環境づくり専門官 矢作 一也 環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室利用推進・自然教育係長 岡田 京子 東京家政大学教授 村上 尚徳 環太平洋大学副学長 遠藤 友麗 元聖徳大学生涯学習課講師、MOA美術館児童作品展シニアアドバイザー 書写の部 豊口 和士 文部科学省教科調査官、文教大学教授 大塚健太郎 文部科学省教科調査官 高根沢 景 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課児童環境づくり専門官 矢作 一也 環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室利用推進・自然教育係長 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤 泰弘 東京学芸大学教授 団体の部 豊口 和士 文部科学省教科調査官、文教大学教授 小林 恭代 文部科学省教科調査官 谷山 和也 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課児童環境づくり専門官 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤 泰弘 東京学芸大学教授 遠藤 友麗 元聖徳大学生涯学習課講師、MOA美術館児童作品展シニアアドバイザー 斎藤 泰彦 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団代表理事 (順不同・敬称略) |
賞 |
絵画の部 文部科学大臣賞 1年~6年各1点 6点 外務大臣賞 3点 厚生労働大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 環境大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 2点 金 賞 5点 銀 賞 18点 銅 賞 30点 入 選 150点 書写の部 文部科学大臣賞 1年~6年各1点 6点 厚生労働大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 環境大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 1点 金 賞 2点 銀 賞 5点 銅 賞 10点 入 選 50点 団体の部 文部科学大臣賞学校奨励賞6校 厚生労働大臣賞2児童作品展実行委員会 |
受賞された皆さんと、出品されたすべての児童の皆さんのご努力を心より讃えます。
今年度、書写の部では、国内・海外を合わせ、計53,215点の出品があり、皆さんの日頃の努力の成果が大いに発揮され、思いがあふれる素晴らしい作品ばかりでした。
書写を含め、書道や書と呼ばれるものには、日本独自の感性や価値観などに裏打ちされた独自の歴史と伝統があり、毛筆で文字を書くという営みは、生活文化として生活を支え、生活を彩り、生活の中で育まれてきました。また、毛筆で書かれた文字に美が見いだされ、日本独自の芸術として発展し、芸術としての歴史と伝統も継承されてきました。今回出品された皆さんは、文字を書くことの役割や価値、毛筆で文字を書くことによる美しさや豊かさ、魅力を実感的に感じ取っていることと思います。皆さんには、今後も日常生活の中で文字を書くことを大切にし、心豊かな生活を創造していってほしいと願っています。
審査に当たっては、筆使いや運筆、字形や字配り、紙面構成や作品としてのまとまりなどの他、こうした姿勢や思いもまた重要な観点となります。書写の学習を通して、日本の伝統や文化と向き合いながら、文字や言葉を書いて伝えることの意味や大切さを感じ取る感性を高めていってください。そして、書写の学習を通して、たくさんのことを考え、色々なことを学び、自身と向き合い、これからの人生を豊かにしていってほしいと思います。
文部科学省教科調査官 文教大学教授 豊口 和士
山村 拓司
【学校コメント】43年目を迎えた本校は、所沢市の中心部にありながら、学校ファームや学習林を有し、その特色を生かした教育活動を展開しています。この度の栄えある受賞は、学校、家庭、地域にとってこの上ない歓びであり、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。この賞を励みに、今後も「子供たちの笑顔溢れる魅力のある学校づくり」を目指し、教職員が情熱と使命感をもって全力で取り組んで参ります。
【委員会コメント】この度は、長年、児童作品展への参加、お茶・お花の日本伝統文化に関する授業にご協力させて頂いておりました所沢市立並木小学校にこのような素晴らしい賞が授与されましたことは、行政をはじめ、学校、地域、保護者の方々の心温まるご理解、ご協力の賜物であり、皆様からのご支援に対して感謝申し上げます。
吉田 勉
【学校コメント】本校は、神奈川県のほぼ中央に位置する「綾瀬市」の南部にあります。今回、この栄えある賞をいただき、日頃より子どもたちを支えてくださっている関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。今後も、「温かい未来を創造する人材(財)の育成」という学校教育目標のもと、子どもたちの豊かな感性や何事にも前向きに取り組む力の育成に、一層努めてまいります。
【委員会コメント】この度の受賞は、綾西小学校に次ぐ2校目の「学校奨励賞」となり、実行委員会として大きな喜びと感動、励みになりました。
綾南小学校には、2007年の全国展で、文部科学大臣奨励賞を受賞した児童がおり、その後も毎年数多くの素晴らしい作品の応募があり、長きにわたり作品展を支えていただいています。
“みんなの絵で楽しさや喜びを伝えたい!”という思いを込めて、医療機関や介護施設等の巡回展を行い、多くの方々から、感動や癒し、元気になるとの嬉しい言葉を寄せていただいています。
これからも、“美から生まれるちから‥‥育つこころ‥‥”をテーマに学校や地域の皆さんと一緒に心豊かで健康なまちづくりに努力してまいります。
嘉義 政彦
【学校コメント】本校は、富山市の中心市街地からやや東に位置する児童数470名の学校です。今回の受賞は、地域の皆様の長年のご尽力によるものです。共に喜びを分かち合いたいと存じます。今後も、学校経営方針「Well-being幸せを実感できる学校をつくろう」を合い言葉とし、子供たちと一緒に、だれ一人取り残さない温かな学校づくりに努めて参ります。
【委員会コメント】富山市児童作品展は『憲章』に基づき、多くの皆さんの協力を得て開催しております。その中で東部小学校が栄えある『学校奨励賞』を賜りました事は、学校、家庭、地域が一体となって、長きにわたり美を通して子どもたちの「生きる力」を育んでこられた営みが評価されたものと、本当に大きな喜びでいっぱいです。今後とも子どもたちの笑顔ある町づくりに貢献して行きたいと願っております。
和中 克仁
【学校コメント】本校は、大阪府南部に位置し、創立13年目の新設校です。開校当初、192名だった児童数が、現在は、736名となり、市内で一番のマンモス校です。今回、この栄えある賞をいただき、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。この賞を励みに、「しっかり学び、ともに高め合う子の育成」を目指し、一層努力してまいります。
【委員会コメント】この度は、昨年に引き続き、2年連続で学校奨励賞をいただき驚きと感謝でいっぱいです。今回で貝塚市として3回目の受賞となりました。また、書写部門において文部科学大臣賞を受賞し実行委員会メンバーは二重の喜びです。貝塚実行委員会は実行委員長を中心に、NPO法人えーる、貝塚子育てネットワークの会の方とメンバーが一体となって取り組んだ成果だと思います。
民谷 洋二
【学校コメント】本校は、兵庫県東部の尼崎市に位置し、創立56年目を迎える全校児童472名の学校です。この度の栄えある受賞は、学校だけでなく、保護者や地域の皆様にとっても大きな喜びであり、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
今後も教育目標である「心豊かでたくましく 自ら学びやりぬく子ども」の育成に取り組んでまいります。
【委員会コメント】「立花西小学校」の「学校奨励賞」の受賞に、実行委員会は喜びと感謝でいっぱいです。日頃の生け込み活動や児童作品展等、美による情操教育へのご理解とご協力の賜物と感じています。併せて、「全国子ども会連合会会長賞」に同校の井元飛南也君の受賞もあり重ねて喜びを共にしています。これも、尼崎市、尼崎市教育委員会、市内全小学校41校のご協力があってのことと感謝致します。今後も、美を通じて健康なまちづくりにより一層努めてまいります。
山本 司
【学校コメント】本校は兵庫県三田市にある、大きな時計塔をシンボルにもつ木造校舎の学校です。この度の栄えある受賞は、学校関係者はもちろん保護者や地域の皆様にとっても大きな喜びであり、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
今後も「仲良く 元気に がんばる子」を合言葉に、夢に向かって歩むさんだっ子の育成に努力してまいります。
【委員会コメント】栄えある「学校奨励賞」を受賞でき、学校関係者はもとより実行委員会一同、喜びで一杯です。厳しいコロナ禍という状況の下、学校、保護者、地域の皆様のご協力で、三年ぶりに表彰式を開催。そして巡回展を終えたところへの朗報です。緑の芝生とカルチャータウンの優れた環境の下、学園小学校の美育への取り組みへのご褒美と感謝しています。
【団体賞コメント】 この度は大変名誉ある賞をいただき、実行委員会一同心より感謝申し上げます。
函館市は北海道南部にあり、自然豊かで海の幸にも恵まれ、函館山からの夜景や異国情緒あふれる街並み等、景観の美しい観光都市です。
子ども達の豊かな心の育成を願い、積み重ねてきた当会場の作品展は33回を数え、市内41校ある小学校の約半数の小学校から応募いただいており、学校や各教育研究会の先生方のご協力や多くの個人、企業の協賛、ボランティアの皆様のご協力に支えられております。コロナ禍にあって、「美」による情操教育がますます大切になってきていると感じ、今回の受賞を励みに、子ども達や関わる方々一人ひとりを大切に、市の願う「市民一人ひとりの幸せづくり」につながるようにより一層努力してまいります。
【団体賞コメント】この度の「厚生労働大臣賞」受賞という朗報を受け、驚くと同時に今後益々の責任の重さを感じる次第です。コロナ禍という未曽有の危機ではありましたが、自治体はじめ、学校・地域・関連企業等多くの方々のご支援を賜り、この作品展を継続開催できましたことを誇りに思います。
子どもたちの作品と向き合う真剣な眼、誠実な態度、完成時の満面の笑みが私たちにとっての最高の喜びです。そんな力が明るい未来を創り育んでいくのだと信じています。
「全ては子どもたちの未来のために そして これから生まれてくる生命のために」
絵画の部 総評
児童の皆さん、今年も素晴らしい作品をありがとうございました。全国審査では、一次予選を通過した作品を学年ごとに並べ、それを審査員が見て回りながら、上位の作品を選んでいきます。そのときに、思わず目がとまる作品があります。それは、何が描きたいかということを作者がしっかりと持って、気持ちを込めて描いた作品です。今回、賞に入った作品を見ると、自分が表したいものや心に残ったものを、大きく描いたり色彩を工夫して描いたりした作品や、大胆な構図で印象が残るように表現した作品などが多くありました。どれも自分の着眼点でとらえ、自分の表現方法で一生懸命書いている姿が伝わってくる作品でした。
絵は、描く技術も必要ですが、それ以上に何を感じ取り何を表現するかという、ものの見方や感じ方、発想や構想の仕方が大切です。今回、賞を受賞されたみなさんの作品は、このような作者独自の着眼点や発想、描き方の工夫などが見られるものばかりでした。審査に当たっては、絵と題名を見ながらできるだけ丁寧に、作者の表したいこと、意図や表現の工夫などを読み取ることを大切にしました。それぞれの作品の題名や感想文を読むと、描いた人たちの思いや願い、感動したことなどが伝わってきて、心が温かくなります。絵を描くと感性や創造性、情操などが養われると言われますが、単に絵を描けばよいのではなく、絵を描くことを通してどのような時間を過ごしたかが重要だと考えます。
MOA美術館全国児童作品展は、このような子供たちが、絵を描くプロセスを通して、普段とは違った視点から生活や身の回りのものを見直したり、様々なことに気付いたり、考えたり、自分のことを振り返ったりすることを大切にしています。
今後とも、このコンクールが、子供たちの感性や創造性、豊かな情操などを育成することつながってくれることを願い、審査講評とさせていただきます。
環太平洋大学副学長 村上尚徳