MOA美術館児童作品展は、「学習指導要領」にもとづき、子どもたちが自然・環境、社会、他者との関わりを通して、興味や関心をもったことを、感性を働かせながら絵画や書写によって表現することで情操を養い、豊かな心を育てることを目的に開催しています。
子どもたちの創作活動を奨励することは、夢や目標に向かって自ら考え、行動する力を高めると同時にそれぞれの国の伝統と文化への関心を高め国際文化交流に資するものと考えています。
本児童作品展は、全国の美育ボランティアによって支えられ、さまざまな個人、団体と協力しながら、医療福祉機関での巡回展示や、年間を通じた美育活動など、学校・家庭・地域が連携し、社会全体で子どもを育てていくことを重視するもので、このことによって、地域社会の絆を深め、心身ともに健康な活力のあるコミュニティづくりを願っています。
本展の開催にあたり、ご協力賜りました関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、今後も未来に羽ばたく子どもたちに夢と希望を与えられる児童作品展としてご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
MOA美術館
開催期間 | 展 示 2023年12月29日~2024年2月14日 入賞入選300点と団体賞の展示紹介 於:MOA美術館1階 表彰式 2024年1月28日 於:能楽堂 |
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主催 | 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館) |
後援 |
文部科学省 外務省 農林水産省 環境省 こども家庭庁 日本ユネスコ国内委員会 公益社団法人日本PTA全国協議会 公益社団法人全国子ども会連合会 公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 全国新聞社事業協議会 公益財団法人海外日系人協会 全国連合小学校長会 |
参加対象 | 海外11ヶ国28会場を含む297会場で開催.応募総数190,347点、参加校数5,887校 |
審査員 |
絵画の部 小林 恭代 文部科学省教科調査官 高根沢 景 こども家庭庁成育局参事官(事業調整担当)付児童環境づくり専門官 伊東 里佳 環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室室長補佐 岡田 京子 東京家政大学教授 村上 尚徳 元環太平洋大学副学長 内田 篤呉 MOA美術館館長 書写の部 豊口 和士 文部科学省教科調査官、文教大学教授 高根沢 景 こども家庭庁成育局参事官(事業調整担当)付児童環境づくり専門官 伊東 里佳 環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室室長補佐 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤 泰弘 東京学芸大学教授 𡈽上 智子 日本女子大学人間社会学部教育学科特任教授 団体の部 豊口 和士 文部科学省教科調査官、文教大学教授 小林 恭代 文部科学省教科調査官 高根沢 景 こども家庭庁成育局参事官(事業調整担当)付児童環境づくり専門官 長野 秀章 東京学芸大学名誉教授 加藤 泰弘 東京学芸大学教授 岡田 京子 東京家政大学教授 中島 宏平 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団代表理事 (順不同・敬称略) |
賞 |
絵画の部 文部科学大臣賞 1年~6年各1点 6点 外務大臣賞 3点 内閣府特命担当大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 環境大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 2点 金 賞 5点 銀 賞 18点 銅 賞 30点 入 選 150点 書写の部 文部科学大臣賞 1年~6年各1点 6点 内閣府特命担当大臣賞 1点 農林水産大臣賞 1点 環境大臣賞 1点 日本PTA全国協議会会長賞 1点 全国子ども会連合会会長賞 1点 ボーイスカウト日本連盟理事長賞 1点 審査員賞 1点 金 賞 2点 銀 賞 5点 銅 賞 10点 入 選 50点 団体の部 文部科学大臣賞学校奨励賞6校 内閣府特命担当大臣賞2児童作品展実行委員会 |
受賞された皆さんと、出品されたすべての児童の皆さんのご努力を心より讃えます。
今年度、書写の部では、国内・海外を合わせ、計53,886点の出品があり、皆さんの日頃の努力の成果が大いに発揮され、思いがあふれる素晴らしい作品ばかりでした。
毛筆で文字を書くことには、書かれた文字や言葉に書特有の美が表れるのはもちろん、書くという行為そのものに、日本独自の感性や価値観などに裏打ちされた独自の歴史と伝統があります。また、毛筆で文字を書くことは、生活文化として我が国の生活を支え、生活を彩り、生活の中で育まれ、今日まで継承され続けてきました。そして、2021(令和3)年12月に日本初の「登録無形文化財」に登録されたのに続き、本年2023(令和5)年12月には2026年の登録を目指す国連教育科学文化機関(ユネスコ)「無形文化遺産」の候補に「書道」が選出されるなど、その価値や意味が、いま改めて評価されてきています。
皆さんには、今後も毛筆で文字を書くことによる美しさや豊かさ、魅力をさらに感じながら、日常生活の中でも文字を書くことを大切にし、心豊かな生活を創造していってほしいと願っています。
審査に当たっては、筆使いや運筆、字形や字配り、紙面構成や作品としてのまとまりなどの他、書くことを通して表し伝える姿勢や思いも重要な観点となります。書写の学習を通して、日本の伝統や文化と向き合いながら、文字や言葉を書いて伝えることの意味や大切さを感じ取る感性を高めていってください。そして、たくさんのことを考え、色々なことを学び、自身と向き合い、これからの人生を豊かにしていってほしいと思います。
文部科学省教科調査官、文教大学教授 豊口和士
植松 研吾
【学校コメント】本校は、開校41周年を迎えた学校です。校舎の窓から二つの世界遺産「韮山反射炉」と「富士山」を遠望することができ、歴史と自然が豊かな地にあります。この度の栄えある受賞を励みに、「ともに高め合う きららの子」の育成を目指して、より一層努力して参ります。選考いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
【委員会コメント】 文部科学大臣学校奨励賞という大変名誉な賞をいただき感謝いたします。伊豆の国市では今年で18回目の作品展での初の受賞。これまで地域の皆様や関係者のご協力を得て、地道に取り組んできた活動が評価されたことをとても嬉しく感じます。これからも子どもたちの感性や美意識を育てる情操教育に取り組んでまいります。
上野 寛子
【学校コメント】 本校は、岐阜県西部の大垣市に位置する創立183年を迎えた藩校由来の小学校です。大垣藩主戸田氏による文教施策により、明治以降、本校出身者から多くの博士等文化人が誕生しています。
この度の「学校奨励賞」を励みに、伝統文化に親しむことで豊かな情緒を育成する「ふるさと教育」の一層の充実に努めて参ります。
【委員会コメント】 この度の受賞は3校目でとても驚いています。大垣市は歴史と文化を重んじていて興文小も歴史ある小学校です。長きにわたり数多くの素晴らしい作品の応募があり、入賞もされています。小学校の目標「自分から 自分と仲間のために ひたむきにがんばる」に、とても共感しました。これからもよろしくお願いします。
臼井 幸江
【学校コメント】 本校は、大阪府南部に位置し、創立96年目を迎える全校児童519名の学校です。この度の栄えある受賞は、学校、家庭、地域の皆様にとっても大きな喜びであり、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。今後も子どもたちのよさや可能性を引き出し伸ばす学校として、「自ら考え、思いやりのある、たくましい」子どもの育成に取り組んでまいります。
【委員会コメント】泉大津市児童作品展は、毎年初回から市内全8小学校が参加し、2校目の学校奨励賞をいただき、今回旭小学校が受賞となり実行委員会として益々大きな喜びと励みになりました。さらに行政、学校、家庭、地域と一体となって、心豊かで健康なまちづくりに貢献して行きたいと願っています。
山竹 昌郁
【学校コメント】 本校は大阪府南部の貝塚市の山手にあり、校区が鉄道沿いに細長く、電車通学をしている児童がいます。また、昨年は創立150周年を迎えた歴史のある学校です。この度。栄えある賞をいただいたことは、学校はもとより、保護者や地域の方々にとっても大きな励みとなり、深く感謝いたします。今後も学校目標である「自ら学び、つながり、ともに高め合う子どもの育成」をめざして、努力を続けてまいります。
【委員会コメント】 この度は3年連続で「学校奨励賞」をいただき、驚きと感謝でいっぱいです。併せて書写部門で「全国子ども会連合会会長賞」を受賞し実行委員会は二重の喜びです。今回の受賞は実行委員長を中心にNPO法人「えーる」貝塚子育てネットワークの会の方々とメンバーが一体となって取り組んだ成果だと思います。今後も美を通じて健康なまちづくりに努力してまいります。
足立 靖
【学校コメント】 本校は近松門左衛門や白髪一雄さんゆかりの尼崎市にあり、今年度創立50周年を迎えました。これまで地域と連携して田植えやアクションペインティングなどたくさんの経験を積む中、こうして芸術分野でも力を発揮し、栄えある賞をいただけたことを大変うれしく思います。今後も地域と連携し心豊かな子どもたちを育てていきたいと思います。
【委員会コメント】昨年の立花西小学校に引き続き、2年連続の学校奨励賞の受賞に驚きと感謝で一杯です。武庫庄小学校は受賞率も高く、第28回全国展で「厚生労働大臣賞」、第30回全国展で「文部科学大臣賞」を姉妹で受賞するなど長きにわたり優秀な作品を出品され、尼崎市児童作品展に応募される他校の励みにもなっています。また長年の生け込み活動は学校の美による情操教育への深いご理解とご協力があればこそと感謝しています。今後も美を通じて健康なまちづくりにより一層努めて参ります。
井田 剛
【学校コメント】 本校は、鳥取県西部の米子市に位置し、創立46年目を迎える全校児童567名の学校です。今回、この栄えある賞をいただき、日頃より子どもたちを支えてくださっている関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。この賞を励みに、今後も「かがやけ」を合い言葉に、「未来に生きる子どもたちの力と夢を育てる学校」を目指し、一層努力して参ります。
【委員会コメント】 このたびの受賞は、誠に光栄で有難く実行委員会としても喜びは一入です。歴代の校長先生をはじめ先生方には、本作品展の趣旨を深く理解しご協力いただいてまいりました。全国展の優秀作品の巡回展示も開催し、生花の生け込みについても毎年高く顕彰してくださっています。益々地域の美育に尽力してまいりたいと願っています。
【団体賞コメント】 この度は、大変名誉ある賞を頂き、驚きと共に誠に光栄に感じます。
三田市は兵庫県南東部にあり、豊かな自然に恵まれた田園都市です。MOA美術館の児童作品展開催理念に基づき「興味や関心を持ち、感性を働かせ絵画や書写による表現が情操を養い豊かな心を育てる」ことを目的に開催し、本年で28回目を迎えました。 三田市・教育委員会等の後援を受け、学校関係者、市内企業、団体、ボランティアの皆様の協力により開催しています。また昨年よりWebによる募集を始め、本年はWeb応募が80%となり、「児童感想文」「保護者コメント」もお願いすることで、児童の作品制作への思いが伝わってきます。
表彰式には受賞児童と保護者を招き、市長、教育長等のご臨席のもと開催し、表彰の舞台には児童が一輪の花を活けた花器を並べ、和やかな式にしています。また審査の先生よりスライドで作品を映し評価のポイントなど講評も行うとともに、優秀作品は市立図書館や医療機関で巡回展を開催し大変喜ばれています。巡回展をきっかけに市立図書館で尾形光琳三百年忌を記念した「講演会」や「東海道五十三次展」「紅白梅図屏風」を活用したMOA美術館所蔵品を紹介する講演会の開催、市内の中学校で「和文化体験授業」も行っています。今回の受賞の喜びを機に、美育を通して社会の宝である子どもの健やかな成長を願い、美育活動を進めてまいります。
【団体賞コメント】前回の厚生労働大臣賞受賞から10余年。呉市・呉市教育委員会との共催が実現し、小学校長会との連携強化、社会福祉協議会等まちづくりの要となる団体など市を代表する諸団体との連携拡充を図りながら作品展の目的達成に取り組んできました。
個人、企業の皆様からの協賛を大きな糧とし、ご賛同くださった地域の皆様や受賞者の保護者、さらには高校生の協力も得て運営できるようになりました。
この度の受賞に実行委員一同心から感謝し、皆様と喜びを分かち合い、これからも未来を担う子どもたちの「夢へのチャレンジ」を応援して参ります。
絵画の部 総評
MOA美術館全国児童作品展は、今年で第34回を迎えました。絵画作品は、国内外から13万6千点余りもの出品があり、小学生の絵画作品展としては国内最大規模のコンクールになっています。
このコンクールでは、単に技術的に優れた作品を奨励するのではなく、子どもたち一人一人が感性などを働かせて様々なことを感じ取りながら考え、自分なりに工夫し、表現していくことを重視しています。
そのため審査に当たっては、絵と題名を見ながら、作者である子供たちが「何を感じて表現しようとしたのか。どのような工夫をしたのか。」をできるだけ丁寧に読み取ることを大切にしています。
近年、子供たちの自然体験や家族、地域での触れ合いの機会などが減少していると言われています。そうした中で、それらをテーマに絵を描くことは、体験したことをじっくりと振り返る時間になり、自然のよさや美しさ、不思議さ、家族や友達、地域の方との触れ合いや心の温かさなどを改めて実感する機会にもなります。このように子供たちが、絵を描くプロセスを通して、普段とは違った視点から生活や身の回りのものを見直したり、様々なことに気付いたり、考えたり、自分のことを振り返ったりすることが大切だと思います。
絵を描くと感性や創造性、情操などが養われると言われますが、単に絵を描けばよいのではなく、絵を描くことを通してどのような時間を過ごしたかが重要だと考えます。今回、賞を受賞されたみなさんの作品は、作者独自の感性や着眼点を生かして独創性や描き方の工夫などが見られるものばかりでした。
今後とも、このコンクールが、子供たちの感性や創造性、豊かな情操などを育むことにつながってくれることを願い、審査講評とさせていただきます。
元環太平洋大学副学長 村上尚徳